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「きよしとこの夜」

- 3/7(日)~ 毎週日 夜10:00
【再】木 昼12:00~
今月の目玉は何と言ってもコレ! 氷川きよしの、『きよしとこの夜』です。最初のOAは、2005年。演歌界の貴公子初の冠番組で、「歌」「トーク」「コント」「料理」などで綴られるバラエティです。
注目すべきは、志村けんのトーク番組に見られるような「ゆる~~い設定の妙」。番組の進行役でもあるグッチ裕三さんは大家さん、氷川きよしくんはその下宿人で、その部屋にやってくるお客さんが毎回のゲスト…ということになっています。解説が必要な場面には、徳田章アナが登場しますが、これまた隣人…という設定になっていたりもします。そして第一回目のゲストは、天童よしみさんで、一応「氷川くんの彼女が来る?」という流れで、この部屋を訪ねて来ます。また異彩を放っているのは、コーナーのつなぎにカラス(人形)のモーオとおだまりが出てきて、あれこれ噂話をすること。その声の出演が瀬川瑛子さんと美川憲一さんなのが、NHKの番組らしく、なかなか贅沢なキャスティングです。
グッチさんの市販の調味料を使った簡単ごくうま料理のレシピやゲストとのトークも魅力ですが、何と言っても毎回の目玉は、きよしくんのコスプレでしょう。歌コーナーでは、さまざまなジャンルの特集が組まれますが、股旅ものなら縞の合羽に三度笠で立ち回り、ロックならプレスリー風フリンジスーツにツイストダンスと、衣裳や演出の七変化が楽しめます。立ち回りで袖に入れていたマイクを自分の唇に思い切りぶつけてしまい、1週間も口が腫れてしまった……などという裏話をグッチさんに暴露されたりする一幕もあります。まだまだ初々しい氷川きよしくんのホストぶり、じっくりとお楽しみ下さい。
「山田風太郎 からくり事件帖 警視庁草紙より」

- 3/19(金)~ 毎週金 夜8:00
【再】日 夜11:00~ 水 午後2:00~
そして今月のお薦めドラマは、こちら。
時代劇ですが、時代劇としては珍しい明治時代が舞台です。押し寄せる西洋文化の波。泰平の夢を破られ身分を取り上げられた不平士族の反乱。実は明治初期って混沌とした時代だっんですねぇ…。明治新政府は薩長閥がトップを占めており、特に警察官は大半が薩摩人でした。彼らに役割を奪われた江戸の町奉行は、内心面白くなかったでしょうが、そのあたりの時代の転換、対立構造を、歴史上の人物を交え、捕物帳ふうに描いたのがこのドラマなのです。
主人公は隠居した江戸最後の町奉行・駒井相模守信興。演じるは小林桂樹さん(小林さん体調不良のため、5話からは佐野浅夫さんに)。 彼らが仲間…千羽兵四郎(田辺誠一)、小蝶(原田知世)、かん八(深沢敦)らとともに新生警視庁の警視(近藤正臣)らに対決を挑んでいく…という物語です(原作は山田風太郎)。
タイトルに「からくり」とあるように、この時代に生まれた≪のぞきからくり≫や≪写真技術≫など、明治ならではの文物が謎解きや、事件解決の重要な小道具となっていくところも、魅力の一つです。江戸時代と明治時代、歴史年表ではくっきりと線が引かれていても、その時代に暮らす人達にすれば、昨日と今日、そして明日との間に さほど違いがあるわけではない。そんな江戸時代を引きずった人達の、時代に棹さす奮闘ぶりが描き出されています。
「必殺からくり人」

- 3/15~ 毎週月-木 夜10:00
【再】3/16~ 毎週火-金 午前9:40
最後はなつかしいドラマをご紹介します、緒形拳、山田五十鈴、ジュディ・オングが出演する必殺シリーズの第8弾『必殺からくり人』です。1976年に放送されました。
全13本のうち10本の脚本を担当した早坂暁さんは、NHKの『天下御免』『天下堂々』(私の大好きなドラマです!)などの風刺時代劇で好評を博した直後で、そんな早坂さんの個性を、従来の必殺シリーズに色濃くまぶしたドラマ、それがこの『必殺からくり人』です。(実は冒頭のナレーションも担当)。
第一回目は銀座の歩行者天国に枕売りの時次郎(緒形拳)が登場するところから始まります。そこで交わされるのはこんな会話…「緒形拳さんでしょ?」「いいえ私は夢屋時次郎という者です」。その後、「鼠小僧の引き回しがやって来る!」というようなやりとりがあって、そこから「なぜ鼠小僧が引き回しの末殺されたか?」という物語が始まるのです。つまり、フィクションの醍醐味が持ち味の「必殺」に、ドキュメンタリー的な導入を付けているところが「からくり人」の持ち味…というわけです。また鼠小僧の処刑理由にも、ヒネリがあります。盗みを働くうち、大名屋敷の見てはいけないスキャンダルを目にしてしまった、その口封じのため殺される…というお話なのです。舞台設定は天保年間ですが(NHK『天下堂々』と同じ時代)、実在した鼠小僧だけでなく、同時期に起こった事件、「天保の大飢饉」「蛮社の獄」などもドラマに盛り込んでいます。
主演の一人、山田五十鈴さんは映画の現場以上にダメ出しの厳しい現場に、「これで出来がひどかったら文句を言おう」と思っていたところ、第一話が素晴らしく、スタッフのプロ意識の高さに感動したそうです。従来の必殺とはテイストが違ったため、放送当時は視聴率的に苦心したそうですが、第二話の「津軽じょんがらに涙をどうぞ」は、当時のギャラクシー賞を受賞したほどの質の高さ(この手の娯楽作品では非常に珍しい!)。日頃早坂暁さんのNHKドラマに親しんでいるチャンネル銀河の視聴者なら、この作品の良さがわかるはずです。ゴリっと、噛みごたえのある『必殺からくり人』、よく噛みしめて味わってみて下さい。

【中村結美 / 放送作家】
「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」「はじめてのおつかい」「神々の詩」などの番組を構成。
最近はNHKハイビジョン「世紀を刻んだ歌 ~何日君再来~」「わたしが子どもだったころ」などを手がける。
父は俳優の織本順吉。「昭和20年の記憶」「わたしの藤沢周平」では、父の出演番組を演出した。


