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―「大地の子」がほぼ初めてのドラマ出演だとお聞きしたのですが。
深夜のドラマを1回やらせていただいたくらいで、これほどの規模の作品に出るのは初めてでした。
―出演のきっかけは?
プロデューサーの岡崎栄さんがたまたまご覧になっていた雑誌に、僕が所属する劇団の写真が載っていたんです。
それで僕の事をちょっと見てみたいということで舞台稽古にいらっしゃって、その場で一心の役にと決めたそうです。
稽古が終わると、劇団の演出家の成井に「さっきNHKの方がいらっしゃって、お前を"大地の子"というドラマに出したいって言ってたけど、どうする?」と言われたんです。
僕は失礼ながら原作を読んだことがなくて、タイトルを聞いてもピンとこなかったんです。ですから、「大地の子」がどれほどの作品かまったくわからないまま、ただ単にNHKのドラマに出演できるのが嬉しく、「はい、出ます」って答えたんです。
―原作を読んでみての感想は?
がくぜんとしました。これほどの素晴らしい作品に自分が出演していいのかと。
それに台本を見たら、僕のセリフのほとんどが中国語だとわかったんです。「えーっ?」て感じでした(笑)。―中国語はどうやって覚えたんですか?
時間が1ヵ月弱しかなかったので、中国語のセリフだけをとにかくレッスンして、テープを何度も聴きながら、発音等を覚えました。
そのおかげなのか、僕を中国語がしゃべれる奴だと勘違いして、ロケの最中、中国の方が話しかけてくださるんです。
―撮影は大変でしたか?
僕にとっては初めてのことばかりで、大変というよりも好奇心の方が強かったです。自分の撮影がないときでも現場に連れて行っていただいて隅で見ていました。
すべてが目新しくて、「大地の子」で過ごした日々というのはどこをとっても楽しい思い出です。―現場でのエピソードは?
みなさんにとても良くしていただいた思い出しかないですね。
例えば、極寒の地でのロケ中、エキストラの方が手袋をしていない僕の手を温めてくれるんですよ。言葉が通じないにもかかわらず、この作品にたずさわるスタッフ全員の絆が深かったんです。
―出演して感じたことは?
役者の持っている可能性とか高み、深みというものが、それまで考えていたものと比べ物にならないくらい素晴らしいものだと感じました。
ですから撮影から帰ってきて、劇団の舞台に出るのがいままで以上に楽しみで。芝居をしている一瞬一瞬が沸き立つように楽しいんです。
―上川さんにとって「大地の子」とは?
好きだとかおもしろいとかいう思いで続けていた芝居を、もっと知りたい、もっとやり続けたいと思わせてくれました。
僕を役者という目標に向かわせてくれた作品です。これは断言できますよ。
―1985年のシリーズですが、ご覧になった感想は?
いま観ても、学ぶべきことがたくさんあると感じました。
私は生物学者として、人間以外の生物は自分の食べ物を限定していると考えてきました。
例えば、アゲハチョウはミカンやサンショウの葉っぱしか食べないけど、種が少し違うキアゲハはパセリの葉っぱしか食べない。栄養素としてはどんな植物を食べてもいいはずなのに。私はその理由を、食料を求めて他の種との無益な争いを起こさないようにするためだと考えています。
多くの生物は食料を限定することによって、生態学的な中で自分の食料を守っている。これが生物本来のあり方だということです。
この視点で考えると、人間だけがありとあらゆるところから食べ物を集めて食べている。これは問題だなと、私は常々考えてきました。
―それは、食の安心・安全にもつながりますか?
そうですね。
本来、食の安心・安全というのは、その風土で手に入る食べ物を自分たちで手に入れて、どのように加工して、どれくらい保存して、いつ食べるかという、食のプロセスがすべて自分たちの手の内にあるということです。
番組で紹介されていた、自分たちで豚を育て、それを殺めて、どのようにハムを作るかというのは、食のプロセスがすべて自分たちの手の内にある。そこでは食の安心・安全が揺らぐという問題は発生しないはず。
―でも、そうした食のプロセスがくずれてきている。
はい。
現在の私たちは、食のプロセスの大半をだれか知らない第三者に委託しています。そして、できるだけ安いものが手に入るという仕組みにしている。
その結果、失われたものが食の安心・安全なんです。
現在の私たちが、食のプロセスをすべて自分たちの手の内でやることは不可能です。
―福岡先生が考える解決策は?
スローフードという言葉がありますけど、それはゆっくり食べるということではありません。
あまりにも加速されてしまった食の生産と流通、加工というプロセスを、もうちょっと等身大に減速するということが、本当の意味でのスローフードだと思っています。
そのためには、消費者と生産者、流通者がそれぞれ協力して努力しなければならない。この食べ物はだれがどのようにして作ったのか。原料がどのように流通して、どのように加工されてここまで来たのか。
それぞれの食のプロセスが、消費者に見えるようにすれば、安心・安全がおのずとかもし出されます。
当然、そのプロセスには手間ひまのコストがかかってきますが、それは安心・安全のコストなんです。なので、少し割高だけれども、消費者がその食べ物を選んで買えばポジティブなサイクルがまわっていきます。
逆に、安いものだけを消費者が買うと、生産者も1円でも安いものを作ろうとして、偽装や混入が起こり、負のサイクルになってしまう。それをなくす努力を私たちはしなければなりません。







