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街道をゆく第34話:嵯峨散歩・洛北諸道

平安時代、貴人たちが別荘を建てた嵯峨には田舎くささがないと司馬さん。嵯峨野では水尾の里から保津川沿いに渡月橋、天竜寺、車折神社へ。清和源氏の祖、清和天皇が愛した水尾。天皇は体が弱かったので、出家して僧になり水尾の山野を跋渉したといわれ、村人は天皇を敬い清和天皇社を建て以来、千数百年守ってきました。嵯峨の山中を丹波から京に流れる保津川は急流で船の往来は難しかったのですが、江戸初期、京都の角倉了以(すみのくらりょうい)は大工事で水路を開きました。権力におもねることなく独立不羈の町人・了以は、京都人の一つの典型で、ノーベル賞受賞者を多く出した京都の気風に繋がると司馬さんは感じています。足利尊氏によって造られた天龍寺は、臨済宗の夢窓疎石の禅寺で、庭園の曹源池は禅の教えを表現しているといわれます。渡月橋の嵐山は、江戸時代、幕府や村人によって美観が守られていましたが、明治維新後、すっかり荒れ果て、それを見た大久保利光は国土保全の重要性を知ったといわれます。司馬さん行きつけの小料理屋の女将「お好はん」がお参りしていた車折神社は芸能人や商人の神社です。僧兵の寺として知られる洛北の鞍馬寺、周辺の村は僧兵の子孫が住みついたところです。毎年10月に行われる鞍馬の火祭り、1000年にわたり続いた火祭りを見ながら司馬さんは、山野で修行し今は消えていった男たちを、悲しみを込めて偲ぶのでした。

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